第73話

「これだけの雨を毎日降らせる召喚獣ともなると…」



「水か氷の召喚獣だね」




リンの言葉の後をリリ嬢が続ける。



水か氷の召喚獣……。




ブラドラかリヴァイかシーヴァか。



でも……なんで?


こんな小さな小さな、目立たない村をピンポイントで狙う?


って、あたしが考えてもわかる訳ないか。



リン達に任せよう。



適材適所だ。




「適材適所……」




なんだ、ゾイドその顔は。


その、貴女にはないでしょう適材適所って顔は。



あるわ。


数々あるわ。



今は思い浮かばんけど。




「取り敢えず、一時でも雨を止ませて村人に話しを聞く」




真面目な表情でリンが言う。



……出来たんだな、真面目な表情。



うむ、カッコいいぞ。


さすがは王子だ。



王子……



何故だ……リンのところにだけ異常に雨が多いんだが!?



豪雨だが!?




「だぁあああっ!!ウゼェッ!!」




キレた!!


リンがキレた!!




「フィルオーレ!!」



『了』




グワァッ!!


とフィルさんが空へ舞い上がる。



痛っっ、痛いっっ!!



その風圧で雨粒が凶器となってあたしの顔面を叩く叩く。



皆は腕などでそれをガードしてた。



村人1・2でさえ。



うぉおおおおお、鈍臭いのかあたしっ。




『プククッ』



「笑うな、この火蜥蜴がぁあっ」




と叫んでる内にも、フィルさんの周りには光が集まっていき……




『ウィンディーラッ!!』




超必殺技を繰り出した!!



繰り……




「ぬぁああっ、飛ぶぅぅうううっ!!」




ひっくり返って転がりそうになるところを、リンがガッチリと掴んで阻止してくれた。



と思ったが……




「盾かぁぁっ!!」




盾にされただけだった。

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