第72話
「この雨を降らす雨雲を吹き飛ばすことは可能か?」
リンがフィルさんを見て聞く。
自分の役割を理解したあたしもフィルさんを見る。
『可能だ』
出来るんかいっ。
凄いやん、フィルさんっ。
「出来るって!!」
「「えっ!?」」
笑って皆に伝えると、村人1・2が驚愕の声を上げた。
理由もわからず降り続く雨。
それが止むーー。
お互いに手を取り合って、村人にそれを伝えようと走り出そうとする。
が
『だが』
「だがーー?」
まだ続きがあった。
「なんだ?」
全員がフィルさんとあたしを見る。
いや、あたしを見られても。
『一時的なものだ。何故降るのかを突き止め解決しない限りまた雨は降る』
「ぬぇっ!?」
マジか……
マジなのか……。
何故降るのか……?
「マツリさん、フィルオーレはなんて?」
ゾイドが眼鏡をクイクイしながら聞いてくる。
忙しないな。
「一時的なものだって」
「えっ!?」
「そんな……」
落ち込む村人1・2。
ごめん、ぬか喜びさせちゃったな。
申し訳なく思っていると
「やっぱり元を絶たねぇとダメか」
ガラが言う。
わっ……わかってるじゃないか、優しいゴリラ。
さてはただのゴリラじゃない……?
「その顔は止めれ」
「ぬぁーーー」
頬を摘ままれ引っ張られる。
そしてリリ嬢に睨まれる。
そんな瞳で見ないでっ。
これは不可抗力っ。
むしろ代わって!!
泣くぞ?
「フィルオーレ」
『なんだ?』
「にゃんだ、ともうひておりまふ」
「「「「なんて??」」」」
自分のせいか、とガラが頬から手を離す。
「なんだ?って聞いてる」
「これは召喚獣が起こしていることか」
「「「えっ!?」」」
村人1・2とハモる。
召喚獣がーー?
『僕じゃないよ』
「知っとるわっ」
あたしでもわかるわ。
ちゃっかり話に加わってきたイフィートにツッコんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます