第57話

って所であたしは、自分の世界へ戻ってきてた。




「ぐっふぅっ」




意識がある状態で戻されたのは初めてで……これは。



車に酔った感じ……だ。




うぇえ……気持ち悪っ。



ベッタンと絨毯に倒れた。




「おかえり。昼ごはんの時間にセーブポイントがあったから戻した」



「あ"ー」



「飯食う?」




倒れたあたしを覗き込んでくるイオリ。



今日も可愛いな、相変わらず。



セーブポイントがあったということはもう村はすぐそこか。



気持ち悪いってのは……村のこと??




「……お昼」




腹は減ってるが…気持ち悪い……。




「後にする」



「了解」




と言うとイオリはあたしの腰を枕にして絨毯に一緒に寝っ転がる。



ふふ、なんだコヤツ、寂しかったのか??



寂し……




力を入れてグリグリしてくるイオリ。




「折れるっ。折れるっ。ギクるーーーーーーっ」




忘れてたけど、あたしギックリ腰持ちだった!!




「イオリッ!!」



「さすがにゲーム飽きたっ!!遊べっ!!」




おおぅ、素直。



我が儘大魔王、幼なじみイオリが素直。



しかしこのツンデレが可愛いのである。




「よしっ。飯食いに行こうかっ」



「○クド以外は認めない」



「ハイハイ、行こー」




そう言って起き上がれば、家のチャイムが陽気に鳴った。




「誰や誰や誰やーーーーーーっ」



「なんやなんやなんやーーーっ」




あたし達はドタドタと階段を下りて玄関に向かった。




「ハイハーイ、どちら様?」



「イェイイェイ、どちら様?」




二人で満面の笑顔で玄関を開けると、そこには……



学校の違うもう1人の幼なじみが居た。




「「お前かい」」



「なんだよっ。夏休みになったから遊びに来てみれば、そのガッカリ顔はっ。奢ってやろうかと思ったが止めてやるっ」



「のーーーーーっ!!」




奢りーーーーーっ!!




「春樹っ。春樹様っ。おいゴラァ春樹ーーーーっ!!」




マ○ド大好きイオリが奢ってもらうために、帰ろうとした春樹を捕まえ羽交い締めにした。



その細い体のどこに、んな力があるのか。



タイミングが悪かったねー春樹。




冨田春樹。



両親達曰く、あたし達はどこか抜けた仲良し3人組らしい。



因みにコヤツ……恐ろしいほどのゲーム音痴である……。



初代スーパーマ○オでは、クリボーに突っ込んで行くのである。



ジャンプが出来ずに突っ込んで行くのである。



何度も何度も。



そこであたしとイオリは気付く、コイツ……相当だと。



やれやれ、そろそろモンスターイオリから春樹を救出してやるか……。




と、玄関から1歩出て段差を下りた所で




グッキィ!!




「んぎゃあああああああっ!?」




やらかしたっ。


やらかしたねっ。




あたしの絶叫にイオリと春樹が寄ってきた。




救出されたのはあたしの方だった……。

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