第52話

え!?



皆を見れば、皆がこっちを凝視してくる。



え!?



イフィートを見る。



もうあたしに興味がないのか、お菓子に夢中だ。



早いな、オイ。



ではなく




「イフィート」



『ん?何?』




爬虫類独特の縦に線の入った赤い瞳が向けられる。



おおお、今気付いたけど宝石みたいっ。



可愛くなって、その瞳の周りをチョイチョイ撫で(鱗みたいなのが硬ぇっ)てやると。




『くすぐったいよぉ』




とキャッキャッと笑う。



こんな普通に笑ってますが……??



もう一度皆を見ると、キョトンとしてる。



やはりこの子の"声"は届いてないみたい。



え!?


なんで!?




普通に皆、聞こえてるんだと思ってた!!




「さっきから、めっちゃ喋ってるけど、聞こえてなかった?」



「全然」



「いっそも」



「きぃー、きぃー、にしか聞こえない」




3人とも!?



じゃあ、さっきまでのあたしは一人で喋る怪しい人だったじゃん!!



そういうことは早く言って……ハッ!?




「レベル2になったからじゃね!?」



「「「いやいやいやいや」」」




3人からの同時否定。



やっぱり息合ってんね。




「マツリはフィルオーレとも話してたでしょ??」



「「え!?」」




観察眼鋭いリリ嬢。



気付いてなかったのか、男二人。




「やだ、そんな前からあたしを見つめてたの?リリ嬢……」




照れる。



と頬を染めれば




「また前髪燃やされたい……??」



「!?もうこれ以上はっ、もうこれ以上は勘弁してくださいーーっ」




なくなってしまうよ!?


大事な前髪を失ってしまうよ!!




「「ブフフフフッ!!」」




またもや笑われる。



……泣いていいだろうか?




『ドンマイ』



「……うわぁあんっっっ」




召喚獣に励まされたんですけどー!?



本当に泣こうとした時……




「しっかし召喚獣と話せるってよぉ」




ガラがコーヒーのおかわりを注ぎながら言う。




「召喚士なのか、ソレ??」



「え!?」




首を傾げる王子。



密かに召喚士じゃね?あたしなんて喜んでたけど、違うの!?



クッソゥッ!!



召喚士と一般人では、ドえらい違いだぞ!?


これからこのチームでの扱いがっ。




『ドンマイ』



「クッソゥッ!!」




またしてもこの召喚獣に慰められるあたしであった。

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