第51話

「…………」



「「「…………」」」




リリ嬢に焦げた前髪を切ってもらったんだけど……。



誰も目を合わせてくれませんっ。



必死で逸らされてますっ。




「ブフッ」



「…………っ」



「…フフフフ」




オンザ眉毛がそんなに面白いかぁーーーっ。




サラマンダーが豪快に吐いてくれた炎でキャンプの火もまた無事につき、安全が確保されたわけだけども。



もう寝ようかなー。



眠くないけど、皆に笑われるしなー。



一向に起きてこないゾイドも心配だしなー。




って!!




ハッ!?




あれ??


コヤツなんであたしの膝の上でお菓子食ってんの??


え??


何故に帰らない??



いや、喚んでもないんだけど。



あたしは頭の上から膝に移り、リリ嬢に貰ったお菓子を器用に前足で食べてるサラマンダーを見る。




「ねぇ、サラマンダー」



『僕はサラマンダーじゃないよっ』




お菓子を食べながら、カッと少しだけ炎を吐く。



止めれ。


お前の炎はトラウマなんじゃい。



ガラが淹れてくれたコーヒーを一口飲む。



意外と旨かった。



まぁ、王子のあのコーヒーの後ならなんでも旨いだろうけど。




「お前……今失礼なこと考えたろ」



「いいえ」



「即答が怪しい……」



「でも皆がサラマンダーのことサラマンダーだって」



「あっ、話逸らした」



「怪しい……」



「ドンマイ、リン」




ポンと王子の肩を叩くリリ嬢。




『サラマンダーじゃないのっ!!僕の名前はイフィートなのっ!!』



「イフィート??」




それってコヤツの名前……?



なんだ、名前のことかっ!!




「サラマンダーには変わりないじゃん」



『違うってば!!』



「違わんってば!!」




ギッとサラマンダー……もといイフィートと睨みあう。




ぐぐぐっ、なんて言えば伝わるんだ!?




「なぁ、マツリ」



「なんだね、ガラ!?」




今、今イフィートが炎を吐きそうだからねっ。


これ視線を逸らしたら炎を吐かれるからねっ。




「マツリ」



「王子まで何!?」




冷や汗タラタラなんだけどっ。




「マツリ」



「はい!!リリ嬢!!」



「ぇ、何あいつ。俺らの時と違うくね?」



「違うな……」




男達のそんな声が聞こえてくる。



リリ嬢は怖いんだぞ!?



態度も違うくなるわっ。




「フィルオーレの時も思ったんだけど、もしかして召喚獣と話せるの??」




「え……!?」

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