第50話

『んもう、わがままだなぁ』




と言いながらもサラマンダーは小さくなってくれた。



基本、良いサラマンダーのようだ。



ボフンッと小さくなったサラマンダーはまたあたしの頭の上へ。



何故あたしの頭の上へ!?



重いんだけどねっ!?


しかしまぁ助けてもらったし、レベル2にしてもらったから我慢……




「どした!?マツリッ!?」



「なんだ!?あんたがどうした!?ガラッ!!」





唐突にズイッと近寄ってきたガラ。



いやちょっっ、そんな睨まんで下さいよ、リリ嬢!!




これは不可抗力で……




「前髪が焦げっっ焦げ……ブハッ!!ハーッハッハッハ!!」




突然、爆笑するガラ。



酷い奴だなっ!!


さっきまで好感度No.1だったが、人の顔を見て笑う……とか……



ん?


前髪が焦げ……??













!!??



そだった!!


そだったー!!



サラマンダーに焼かれたんだった!!



え!?


大丈夫なの!?


あたしの前髪!!


ていうか、どうなってんの!?



回復魔法で治らない!?



バッとリリ嬢を見ると




「ブフッ」




笑われたよねっ。


もういいよ!!



後は、王子っ!!




「はぁ、疲れたわ。いくら俺が夜型でも、夜の戦闘はしんどい。ゾイド、コーヒー……って居ねぇっっ」




アイツあたしに全く興味ないわっ、こんにゃろうっ!!




「ブワーッハッハッハッ!!」



「ブフフフフッ」



「自分で作るか」



「止めれっ」




さっきの不味さを思い出せっ!!




「はー、笑った。マツリ」




!!??



リリ嬢に初めて名前を呼ばれた!!




「はいっ!?」



「前髪、揃えてあげるからおいで」




女神っっ



女神がいた。



……揃えるって、揃えたら前髪……ある?




「それで??"コレ"は誰が喚んだの??」




リリ嬢がサラマンダーを指差す。




「「んん??」」



『♪♪♪』




そういえばそうだ。



このサラマンダーなんで来た??



王子??



王子を見れば、王子もこっちを見てた。



そして同時に互いを指差し……同時に首を横に振った。




「俺じゃない」「あたしじゃない」

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