第94話

あのプランには日々様々な際どい写真を載せていた。


ギリギリの水着写真とか、フェチズムを刺激するような足の裏の写真とか。


結構オタクにはウケが良かったし、琉偉もお世話になっていたようだからショックを受けるのは当然だろう。



「琉偉はこれから私のあれ以上を見放題なんだから別によくない?」



でも、これまでネット上で不特定多数に公開されていた私の肌露出が今後お前だけのものになるんだぞ。喜べよ。


という目を琉偉に向けると、琉偉はショートしたように数秒固まった後、あからさまに食いついたように顔を近付けてきた。



「ゆきちゃん、それ、意味分かって言ってる?」


「うん」


「俺一応ゆきちゃんより五つも年上のガッツリ大人の男なんですけど……」


「だから何? 私も一応成人した大人なんですけど」


「ゆきちゃんが軽い気持ちでも、そんな可愛いこと言われ続けたら俺の色んな部分が狼になっちゃうよ?」


「色んな部分って言うなよ生々しいな」



ふ、と笑ってしまった。



そんな私の顔に琉偉が触れ、顔が更に近付いてくる。


目を瞑ると、琉偉の唇が私の唇に重ねられた。


昨日はいいところで邪魔をされてできなかったキスだ。


最初は啄むような動きだったそれが段々と深くなっていく。


初めてだったが全く不快には思わなかった。


もっとしたい、と求めると琉偉の動きがより執拗になる。



「ゆきちゃん、好き。ずっと好きだった」


「私も最近好きになったよ」


「俺、ゆきちゃんを俺だけのものにしてもいいの?」


「そのつもりであんたと付き合ってるんだけど」


「そう……」



琉偉がゆっくりと私をソファ椅子に押し倒してくる。ぎしりと音が鳴り、どきどきと心臓が高鳴った。







「いやあの、ここ一応警察署なんだけど?」



と、そこで、玲美の声がしてガバっと起き上がった。


私の額が琉偉の額に勢いよくぶつかり、琉偉が頭を押さえて痛そうにしている。



「そうだぞ! 時と場所を考えろ! 芸能人に気に入られていい気になってんじゃねぇ!」



空斗がうるさい。あの城山琉偉に気に入られている私が羨ましいのだろう。



二人は今事情聴取が終わって部屋から出てきたようだった。



「……ゆきちゃん、続きは俺の家で」


「駄目よ。うちのお母さんもう雪の分の晩ごはんも作っちゃってんだから。一緒にいたいならあんたも来なさい」

「今日こそは俺、ダンジョン抜けようと思ってんだ。お前も俺の勇姿を見届けろ」



反対してくる玲美と空斗の言葉に、私と琉偉は顔を見合わせて笑った。



どうやら私たちの関係の進展はまだ先らしい。


でも、この仲間たちに囲まれているのは悪くないと思った。







FILE7

ストーカーVS彼氏


新生“ゆき”の誕生は、天才俳優と、愉快な仲間たちと共に。

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