第92話

――――そう。私はもう一度、芸能界じゃないけれど、あの日の夢を追いかけようと決めたのだ。



活動を引退すると、琉偉たちには昨日前もって言っていた。


私の活動を応援してくれていた皆には当然反対されたけど、こんなこともあったし、元々大学生終わるまでには辞めようと思っていた活動だ。


露出路線の活動は、いくつになっても続けられるようなもんじゃない。



それに、元々グラビアアイドルになりたかったわけでもないから。


私がやっていることは、私が本当にやりたかったこととは大幅にズレていると思ったのだ。



女優になりたい。


だから、私は“セクシー系アイドルゆき”は捨て、新たに動画サイトでドラマをあげていくことにした。


まだ正式には発表していないけれど、撮影は琉偉、ナレーションは空斗、シナリオは玲美が担ってくれると申し出てくれた。



私はネット上で私の演技を発信する。


うまくいくかなんて分からないけれど、琉偉が私を肯定して挑戦する勇気を与えてくれたから前を向けた。


オーディションに落ちたあの日からずっと立ち止まっていた自分とはおさらばだ。

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