第31話
男を凝視しながらその名で呼びかける。
男も玲美も固まった。
「……え? どうしたの雪」
「この人、yamatoと同じ声してる」
私の言葉と共に、玲美が男の方を向く。
男は数秒硬直していたが、すぐににこりと笑顔を作った。
「はは、何言ってるんですか。僕の名前はヤマトじゃないですよ?」
「そのははって笑い方もyamato……嘘でしょ……?」
私も信じられなくて、思わずそんな言葉が出た。
でも間違いない。このトーン、この話し方。演技中とは違う、フリートークをしている時のyamatoの声。
男がクルッと踵を返して走り出した。まるで逃亡するかのように、全速力で。
過去に運動部に入っていないとあのスピードは出ないだろうってくらいの速さで、男は3階から消えてしまった。
「…………」
「雪が変なこと言うから怖がらせちゃったじゃない」
あれがyamatoだとは全く信じていない様子の玲美。
玲美はyamatoの配信を聴いていないから分からないのだ。
帰ったら玲美に嫌というほどyamatoの配信を聞かせよう、そう思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます