第8話

お風呂に入る準備をしていると、机に置いたスマホが連続で震えたので気になって手に取る。


同じ人物からのコメント通知が送られてきていた。



【今すぐ活動やめろ】


【ゆきさんのために言ってるんですよ】


【これから人生長いのに、こんなところで汚点残してどうするんですか?】


【布の面積小さくなっていっててキモい】


【キモいオヤジに媚び売って金もらう人生、楽しいですか?】



あ?うるせーな。


苛ついてよく見れば、この間アンチコメントを送ってきていた人のユーザーネームと同一の名前だった。



こいつ、しつこいな……。


コメントは私のファンクラブ会員じゃないと送れない仕組みになっているから、こいつも私のファンのはずなんだけど……。


Twitterブロックされたからってコメント送るためにわざわざファンクラブ登録したの?笑える。



FamMomの方でもブロックしてやろうとユーザーページに飛んだその時またスマホが震え、新たなコメント通知が来た。




  【神奈川県横浜市港北区××ー××――――】




私の住所だけが入力されたコメント。


コメントしたのは先程と同じ人物。



ゾッとしてブロックボタンをタップしようとしていた指が震えた。



しばらく固まって向こうの次のアクションを待つが、それ以上コメントが送られてくることもなく。




(え、怖……。)



立ち上がって部屋のカーテンを閉めた。


自分の画像欄を漁り、無料公開している分の部屋での写真を消去していく。



(何でバレた?)



玲美の言葉が思い出される。


いや、住所バレたところでどうってことないし……こいつにもそれほどの行動力ないでしょ。部屋の鍵閉めてれば……。



うーん。


無視しようとしたが、やっぱり思うところが多かった。


すぐに玲美に電話をかけて、新しい部屋を借りるまで泊めてくれと頼んだ。

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