第32話

記憶の中の顔と見比べ、今だに、9年も前の泰三の顔を鮮明に覚えている自分に、呆れてしまう。



なんて、タイミングだろう。



「ん?どうしてわらってるんだ?」



泰三に問われ、自分が笑っていることに気付く。

決して、幸せな笑いではなく、神様に振り回されているような気がして。



「……運命、か」



9年経って、やっと前に進もうとしていたこの時に、再会するなんて、なんて残酷なんだろう。



どうしてもこの人を、忘れさせてはくれないのか。

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