第31話

「……ビックリ、ね。こんなところで会うなんて」



花の溢れる店内を見回し、泰三に視線を戻す。



「何年振りかしら?」



精悍な顔を見つめる。

懐かしさに視線を逸らせなかった。



「9年だ。最後に病院で会ってから」



目を細めながらも、こちらを見つめる目は逸れる気配はない。

読み取れない感情を宿した目が、私を観察する。



「あまり、変わってないな」



「あなたもね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る