第30話
「その癖…、変わらないな。切れるから止めろって言ったろ?」
顔の目の前まで伸びてきた手が、唇に触れるすれすれでその形をなぞった。
熱を感じさせるほど近くまできた手に、驚きとともに息が漏れた。
「……泰三」
名前を呟くと、泰三の眉が切なげに歪んだ。
「結衣」
名前を呼ばれて、ただ切なくなる。
ふいに泣き出したくなって、それを堪えるように精一杯の微笑みを顔に貼り付け、高い位置にある泰三を見上げた。
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