第16話

警部補は地面に片膝をつくと、被害者の手にソッと触れた。




「…犯人は後ろから襲いかかった」

警部補の口から無機質な声が流れ出した。


「彼女はレベルAの能力者だ…いや、だったのに、その気配にはまったく気付かなかった。気付いた時には切られた腕が燃えるように熱くて、心臓を刺されるまで一瞬の出来事だった」




拓真と力也は緊張していた。警部補が能力を使うところは何度も目にしたことがあったが、いくら見ても慣れることはない。




人は理解できないものに、恐怖を覚えるものだ。




それでも2人はこの警部補を尊敬していたので、普段と変わらない声で話しかけた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る