第5話

たまり場はガランとして、いつもの賑わいはどこにもなかった。




居残り組のランクAが5人とランクBの10人が険しい表情で、たまり場の警備にあたっていた。



俺と啓太の姿を見るなり駆け寄ってくる。




「紫音さんは見つかりましたか?」


「大丈夫なんですか?」


「いったい犯人は誰ですか?」



みんな、紫音を心配しているのか、口々に質問をしてくる。




俺はただ黙ってそれを見ている事しか出来ねぇ。








こいつらが聞いて来る事は全て、俺が知りたい事なんだ。






俺の醸し出す黒いオーラに気づいた奴から、口を閉じていく。



だから、俺は足を止めずに、幹部室を目指す。




「みんな、わかり次第連絡するから、たまり場の警備をよろしくね。こう言う時こそ、襲撃に警戒しないとね。」


啓太が、俺達を苦渋の表情で見送る面子に声をかける。



「「「はい。」」」




威勢のいい返事をした面子は、頭を下げて俺達を見送った。











俺だって、どうすればいいのか分からねぇよ。









ダメだダメだ。



こんな時こそ、トップの俺が落ちつかねぇと、示しがつかねぇな。













沈黙したまま、幹部室に入る。




いつもの定位置に座ると、啓太が声を掛けてきた。


「虎、咲斗がこっちに向かってる。しおちゃんの荷物と、女を一人連れてくる。」



携帯に目を通しながら、俺に報告する。







女だ?



俺は眉間にシワを寄せた。




啓太は険しくなる俺の表情を見て、


「もしかしたら、しおちゃんを連れ去った男と繋がってるかもしれないらしい。咲斗の妹が隣の席の男がトイレに行ったまま帰って来ない事に気付いたらしい。」



と、話を付け加えた。





情報がない今、小さな事でも見逃せねぇ。




女が、紫音にたどり着く情報を持ってる事を祈るしかねぇ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る