罪と罰。《弘人side》

第90話

あの時達也に


優を頼む、なんて


言わなきゃよかった。



「弘人っ」


公園のベンチに座る俺に、達也が声をかけた


『ごめん、呼び出して』


「いいよ、話って?」


『あのさぁ』


もうすぐ、夕日が沈む。


『頼みたいことがあって。』


「頼みたいこと?」


俺にとって達也は、何にも変えられない大切な友達だった。


達也以上の友達は、これまでもこれからも、もういないんじゃないかと思った。


「弘人?」


それと同じように


俺にとって優は


子供ながらに


何にも変えがたい


本当に、かけがえのない


大切な存在だった。


今思えば、一目惚れだったと思う。


だけど、優への気持ちが友達としてではないと気付いたのは、小学一年の頃。


泣き虫だった優の、助けになりたいと思った。


いつも隣で笑う優の笑顔を


守りたいと思った。


落ち込んだり、はしゃいだり、怒ったり…


そんな優の全部を、これから先も俺が隣で見ていたいと思った。



だけど

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