第78話

そっと、私の手を握りしめる達也。


知らなかった


知りたかった、弘人の過去が


少しずつ


見えてくる…


弘人のお母さんが自殺して


弘人が本当に辛い時


弘人を隣で支えていた


朱里さん


そして


『…っ…』


その彼女も、また…


『…中3の春って何…』


「…わるい、話せない。」


『っ…』


「…わるい…。」


『だったら…こんな話聞きたく無かったよ…っ泣』


握りしめた私の手を


引き寄せて


達也の腕の中


『…泣』


涙が止まらない


気付いたのは


《もう、誰のことも》


弘人の大きな傷を


《信じねぇって決めたから。》


私なんかでは


『…っ泣』


どうすることもできないってこと



そして



弘人の心の中に





私は少しも存在しないということ。

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