第70話

学校に着くと


クラス分けされて名前が書かれた紙が廊下に貼り出されている


私は達也と隣のクラスだった


近くの席の女の子数人と仲良くなって


どこの小学校だったとか、どこに住んでるとか


あの子かっこいいね、なんて話をしたり


「じゃあ、そろそろ入学式始まるから廊下に出てくださーい!」


体育館へ向かうため廊下に並ばされて


達也のクラスもぞろぞろと廊下に出てくる


クラスの男子とじゃれるようにはしゃぐ達也と目が合って


私が小さく手を振ると


達也は照れたように小さく笑った


「おい多田ー何にやけてるんだよー」


「にやけてねぇよ!」


「隣のクラスの女子見てにやけてたじゃんかよー!」


「ねぇ優ちゃん、あの人知り合いなの?」


『あ、うんっ同じ小学校だったの』


「へーっかっこいいじゃん!」


『えー、そうかな?笑』


「ねぇねぇ、今日終わったらどこか遊びに行かない?」


「いいねー!優ちゃんも行くでしょ?」


『うん、行く行く♪』


入学式の日から


達也とは、朝だけ一緒に登校して


校門で別れた


朝だけ一緒


校門をくぐるまで


廊下ですれ違っても


軽く目を合わせて、小さく笑い合うだけ


それがなんとなく


なんとなく、寂しくて


「ねぇ佐々木さんって、隣のクラスの多田と付き合ってんの?」


『え、付き合ってないよ?』


「ふーん、いつも一緒に登校してるから付き合ってんのかと思った」


『あー…幼なじみなんだよね、私達。隣のマンションだからさ』


「そうなんだっ。」

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