第62話

「ねぇ優!いつの間に仲良くなったの!?」


『さぁ、偶然でしょ…』


「偶然でそんなの当てられるー?」


何も言わない達也


私はなぜか


達也の目を見れない…


しばらくして運ばれてきたドリンク


「ねぇ、佐野も歌おうよー♪」


『ちょっと美羽っ』


「バイト中だからまた今度な」


「やったー!」


「ごゆっくり」


そう言って、弘人は部屋を出て行った


「やばい佐野かっこいいー」


「佐野って彼女いないのかなぁ?」


「前噂になってた奴じゃねぇの?」


「それがわかんないんだよねぇ」


「てかなんであいつだけあんなモテんだよーっ」


「俺あいつが告られてるの、今週だけで2回見たぞ」


そんな会話をぼーっと聞きながら


目の前に置かれたドリンクを一口


『…』


あいつ…


『私トイレ行ってくるね』


「おう、先歌ってんぞー」


部屋を出て


『弘人っ』


呼び止めた弘人は、立ち止まり振り返る


『私がコーヒー飲めないの知ってんでしょ』


「匂いで気付かないお前がわりぃんだろ。」


そうやって


いたずらに笑った


『もー。』


その笑顔が


『…』



愛しいと思ってしまう

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