第36話

駅前のカフェで頼んだ、サンドイッチとサラダと紅茶のセット


コーヒーしか頼まなかった達也に


『朝もちゃんと食べなよ』


そう言ってサンドイッチを一切れ


達也に無理矢理食べさせる


ゆっくりと流れる


大切な人と過ごす時間が


こんなにも


幸せで…


「そろそろ行くか」


『うん』


結局


どこに行くのかは教えてくれなかった達也


電車を乗り継いで


私は達也の後をついて行く


そして


最後に乗り換えた


電車の行き先


『…』


どうして…


「横浜なんて、1時間で来れんだよ。」


振り向いて


そう言って


小さく笑った達也


『…』


子供の頃は


あんなにも遠く感じた


もう二度と


会えないような気がしてた


弘人は


こんなに近くにいたんだね


駅からバスに乗って10分


「一度だけ、母親に連れてこられたんだ。」


弘人のお母さんの


お墓…


「親同士、仲良かっただろ。」


お墓に彫られた名前と



『…』



その下に刻まれた






2年前の日付…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る