第33話

『…横浜の友達?』


「…」


『弘人、前はこんなんじゃなかったじゃん…』


「こんなんってなに?」


『…タバコ吸ったり、お酒飲んだりっ…』


「…」


『こんなの、友達って言えるの?』


あなたは


「…笑」


小さく笑った


『…』


「俺、友達なんていねぇよ。」


『ぇ…』


「優ちゃんさぁ。」


低くて落ち着いた声


「綺麗に見えるものだけが正しいなんて考え」


弘人が


「俺に押し付けないでよ。」


怒ってる


『…っ…』


背中を向けて離れていく弘人


小さく震える体を


ぎゅっと抱きしめて座り込む


胸が


ズキズキと痛んだ


カラオケの帰り


向かい側のコンビニの前でバイクにまたが


弘人の姿を見た


周りには、さっき話しかけてきた人の他にも


派手な男女が数人


その中に


あの後輩の女の子がいた


バイクに跨る弘人の腕に抱きついて


楽しそうに


はしゃいでる


「優?何見てんの?」


『あ、うぅん。何でもない。』


「帰ろ?」


『うん。』

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