第14話

ガラッ


「こらー席つけ、授業始めるぞ」


『…』


「先週の続きから、」


『すいません。』


「ん?佐々木、どうした」


『体調悪いんで…保健室行ってきていいですか?』


「あぁ、大丈夫か?誰かついて行ってやれ」


『あ、一人で平気です』


「そうか、無理するなよ」


『すいません…』


嘘をついた


『…』


席から見えた


向かい側の校舎の屋上で


空を見上げる


ガチャッ…


『…』


弘人の姿。


「…」


あなたはそっと振り向き


「さぼり?」


ぽつりと呟いた


『さぼりはあんたじゃん。』


「…笑」


ふっと笑った弘人は


また、空に視線を戻す


『何してるの?』


「見てわかんねぇ?空見てんの。」


『なんで?』


「…」


なにも言わない弘人のすぐそばで立ち止まり


『…空、好きなの?』


私も空を見た


「…」


グッ!


『っ』


「…」


突然、腕を強く引かれて


屋上の柵に強く押し付けられた


私を囲うように両手で柵を掴んだ弘人は


「嫌いなんだよ。」


低い声で


『…ぇ。』


無表情に笑った


「…なんも変わってねぇな、お前。」


『…』


ガチャッ


『っ』


突然屋上の扉が開き


「…何してんの、お前ら。」


そこには


『っ…』


達也がいた


「ここでキスしたら、あいつどうするかな。」


『やめて…』


「おい、弘人。」


『…お願いっ…』


「…」


しばらくして


『…っ』


離れた弘人の体


私は


その場に座り込んだ

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