第12話

「…」


『…っ…』


「…お前は俺のもんだよ。」


『…』


「…笑」


ねぇ…


『…泣』


あなたを変えてしまったモノは


『…弘人…泣』


なに…?


「…」


それはあなたにとって


『っ泣』


そんなに大きなものだったの…?


背中を向けて歩いていく弘人


『…ひどい…』


立ち止まり


『っ達也と付き合ってること知ってて…こんな無理矢理っ』


静かに振り向く


「…ほんとに無理矢理だった?」


弘人は


『…』


笑った…


離れていく


ローファーの


地面の土を擦る音


私はその背中を


ただ見つめて


思う


私たちは


出会うべきじゃなかった


私は


あなたに会いたくなかった


ずっと


あの頃の思い出のまま


いつまでも


宝物みたいに


大切にしまっておきたかった…


《ほんとに無理矢理だった?》


『…』


拒もうと思えば


たぶん拒めた


拒まなかったのは


あなたがあまりにも


遠い人のように感じたから…


こんな言い訳を


過ちを



私は何度





繰り返すの…

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