第4話

「ホームルームは以上。一限目移動教室だろ、すぐ移動しろー」


クラスの生徒がぞろぞろと席を立ち上がる


「佐野ってどこから来たの?」


「横浜。」


「へー、この時期に転校って珍しいよな。もう一年の後半だし」


「まぁ」


「佐野くん彼女いるのー?」


弘人の周りに集まるクラスメイトたち


男子とも女子とも


あっという間に打ち解けていく…


「あっ優待ってよー」


『早く移動しないと遅刻だよ。』


「けどみんな佐野くんと話してるし大丈夫だって。私もいろいろ話聞きたいーっ♪」


『じゃあ私は先に行ってるよ』


「え、優?どうかしたの?」


『…別に。』


「お前らはやく移動しろー!」


「うわっ担任戻ってきた」


「佐野、行こうぜ。」


「教室案内するよ」


「さんきゅ。」


「私たちも一緒に行くー♪」


『…』


弘人の周りに集まる女の子たち


腕に手を回した女の子に


振り払いもせず慣れたように笑いかける弘人


私の知らない


あの人は


誰…


「優?」


『え?』


「佐野くんのこと見過ぎ笑」


『え、違うよっ!』


「はいはい、多田に言いつけてやろー」


『ちょっと七美、美羽!』


「冗談だって、焦りすぎ笑」


移動教室につき


授業が始まる


教室が暗くなり


スクリーンに映像が映し出される


薄暗い教室の中


いつまでも女の子たちにヒソヒソ声で質問攻めされる弘人


いつの間に弘人


こんなにモテるようになったの。

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