第35話 技を持つ人への憧れ
技を持つ人を見ると、僕はいつも強い憧れを抱く。どんな技であれ、その道を極め、自分のものにしている姿は本当に素晴らしいと思う。たとえば、楽器を演奏する人や絵を描く人、料理を作る人やスポーツで活躍する人。それぞれが自分の得意分野で輝いている姿は、まるで自分の中にある一つの世界を自由に操っているかのようだ。
そんな姿を見ていると、自分には一体何があるのだろうと考えてしまう。昔から、これといった特技や才能があるわけでもなく、何か一つのことに没頭して極めた経験もない。いつも自分がどこか劣っているように感じ、「自分には何もない」と思い込んでいた。
けれど、最近になって少しずつ考え方が変わってきた。もしかしたら、僕にも何かがあるのではないか。これまで気づいていなかっただけで、自分の中にも特別な何かがあるかもしれないと思うようになったのだ。
それを探すために、いろいろなことに挑戦してみようと決めた。例えば、文章を書くこと。今こうして書いているエッセイもその一つだ。言葉を使って自分の思いや感情を表現することが、僕の中で一つの「技」になるかもしれないと思い、少しずつ書き続けている。
他にも、絵を描いたり、音楽を聴いてみたり、新しい趣味に挑戦したりしている。何かを始めることは、初めはとても勇気がいる。自分にできるのだろうか、途中で投げ出してしまうのではないかといった不安や恐怖心が、いつも頭をよぎる。
特に、他の人が上手にやっているのを見ると、自分には到底無理だと思ってしまう。失敗したらどうしよう、恥をかいたらどうしようといった恐怖が、僕の心を萎縮させる。新しいことに挑戦するたびに、心の中で何度も自分を励まし、勇気を振り絞って一歩を踏み出す。
それでも、少しずつできることを増やしていきたいと思っている。初めてのことをするのは怖いけれど、その一歩を踏み出さなければ何も始まらない。失敗してもいいから、とにかくやってみることが大切だと思う。
僕は、自分の中にある小さな好奇心を大事にしたい。何かを試してみたいと思ったら、その気持ちに正直になり、やってみること。少しずつでも、その積み重ねが僕の「技」と呼べるものに繋がっていくかもしれない。まだ何も形にはなっていないけれど、その種を育てていくことが僕にできる唯一のことだ。
技を持つ人への憧れは、今も強く残っている。自分の得意分野を持ち、それを自信を持って披露できる姿は本当にかっこいいと思う。そんなふうに、自分も何かを誇れるようになりたい。そのために、できることから始めていこう。
恐怖心や不安が邪魔をして、なかなか思うようにいかないことも多い。新しいことを始めようとするたびに、「また失敗するんじゃないか」「どうせうまくいかない」と自分を否定する声が聞こえてくる。その声に負けずに、一歩を踏み出すのはとても大変だ。
でも、その一歩を踏み出すたびに、自分が少しずつ変わっていくのを感じる。以前よりも自分に自信を持てるようになり、失敗しても「また挑戦すればいい」と思えるようになった。恐怖や不安を感じても、それに打ち勝とうとする意志が芽生えてきたのだ。
技を持つ人に憧れ続けることは、自分の成長の原動力になると思う。自分の中にある何かを見つけるために、これからもいろいろなことに挑戦していきたい。そして、いつか自分も「これが自分の技だ」と胸を張って言える日が来ることを願っている。
まだ見つからない僕の「技」。それを探し続けることが、今の僕にとっての挑戦だ。恐怖心や不安に負けず、少しずつできることを増やしていくことで、僕は自分自身を見つけていきたいと思う。どんなに小さなことでも、僕にしかできない何かを見つけるために。
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