第72話

「それは…本当なのか?」



幽霊を見るような恐怖に引きつる顔であたしを見つめていたオーナーが言った。



「本当です。だからオーナー…」



「わかった」



真剣な表情で言いかけた亮太兄に、オーナーは頷いて、素早くその場を去って行った。



「ちょっと…亮太兄、何を言ったの?」



オーナーさんがいなくなったテーブルで、あたしは亮太兄につっかかった。



そんなあたしを不機嫌そうに見た亮太兄は、



「悪い奴は叱ってもらわないとな」



口元を上げながら言った。

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