第83話

―――――

――…




カチっという音の後に、ぐったりと手足を投げ出しながら横になるあたしの鼻に煙草の香りが届く。




ウトウトしかけていたあたしは、煙草の香りと、ソッと髪を撫でる手の感触に目を開いた。




「イズミ…眠たいのか?」




小さくかけられた声に、ゆっくりと体の向きを変えて祐樹を見つめる。




「眠いならこれ着とけ。そのままじゃ、風邪ひくぞ」




その声とともに、頭の上に黒いシャツが落ちてきた。

何も言わずにその大きなシャツに袖を通す。

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