第19話

「イズミ」




呼ばれてゆっくりと祐樹の元に近づいていく。




広げられていた腕の中に収まると、上の方から満足げなため息が聞こえてきた。




広い胸に耳を当てると規則正しい鼓動が聞こえてくる。




「…いいな…」




呟かれた小さな声に顔を上げて祐樹を見つめた。




「何?」




「お前がいると安心する」




大きな体で包み込むようにあたしを抱きしめた。




あたしの体からも自然と力が抜けていく。

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