第Ⅰ章 第6話

私はこの家の私以外の家族の朝食の準備を早く済ませたかった。

居心地が悪い本宅には出来れば長居したくなかったから。


私は朝食の準備をした。


すると「おはよう、蒼葉さん」

そう言い、部屋に入って来たのは私と蒼葉さんの両親である左京蒼雅さんと左京蒼華さんだった。


「おはようございます、お父様、お母様」

蒼葉さんはそう挨拶した。


「あら、貴女も来ていたのですね?蒼蝶さん」

そう言ったのは、母親の左京蒼葉さんだ。


「おはようございます・・・奥様。支度が済めば、直ぐに出て行きますので」

私はそう答えた。「ええ・・・。そうして貰いたいわね」

そう冷たい言葉を私に投げ掛けた。


私と蒼葉さんの両親である左京蒼雅さんと左京蒼華さんは精霊契約者だ。

そして、精霊契約者である私の双子の兄・左京蒼葉にしか両親の興味も愛情も向いていない。


精霊契約不適合者である実の娘である私には両親は一切の興味も愛情も向かない。

私に向けられえるのは冷ややかな目線と冷たい言葉と暴力だけだ。

だが、私はその事に随分と前から気付いているし、慣れているのだ。


だが、それが長年続けば、私も諦めもつくが、心はずっと傷付いているのだ。

でも、私は長年、その傷を隠し、騙しながら生きている。

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