第46話
その「ああ」を聞いた瞬間、あたしはバッと顔を上げた。
低くて深くて、とても魅力的な声だったから。
その響きは、一瞬にしてあたしの体に響き渡った。
そして、その姿を見た瞬間、落ち着いていた胸の鼓動が跳ね上がった。
壱星と呼ばれた男は、とにかく大きくて存在感があった。
威圧感と言うのかもしれない。
弘弥さんと同じようなブランドものだか普通のスーツ姿で、それなのに平凡には感じられず。
上手く説明出来ないけど、言うならば、昼より夜を連想させた。
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