第54話

11時になりバイトが終わり更衣室で私服に着替えて裏口から店を出る。




ファミレスの駐車場を横切っていると、店の入り口からあの男が出てきた。



どこにでもあるチェーン店のファミレス。



なんだか、似合わない。

そう思った。




……あっ




こちらに向かって歩いてくる男を見つめてしまいそうになるのを抑えながら、下を向きながら早足で横を通り過ぎようとした。




そのとき、やはり背中を駆け上がる、ゾクゾクするような低い声が耳に届いた。




「……なあ、あんた」




この場所にいるのはあたしだけ。




あたしの事だよね……?




ゆっくり顔を上げて 声のした方へ視線を向ける



と、無表情の男と目があった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る