第37話

運転手にマンションの住所を告げ、背もたれに寄りかかり目を閉じる。



もう、何がーー



6年振りに再会した祐樹の姿が瞼の裏に浮かんできた。




それだけで心臓が跳ねた…




今の、夢じゃない…よね




昔も今も、あたしをドキドキさせられるのは、祐樹だけ。




本気で愛していたのも……




はるか昔に手放して、嘘をついて



傷つけて



…けど



あたしは祐樹の気持ちを裏切ったのは、避けようのない事実で。



二度と会えないと思っていたのに、再会するなんて…



「……っ」



鼻の奥がツーンとして、喉から嗚咽が漏れる。

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