第15話

「…翔、言え。何があった?」



ドスの聞いた恐ろしく低い声を聞いて、あたしも翔も震え上がった。



な、に、この人。



「…木原組の奴らとちょっと揉めて……」



組?



「堅気さんを巻き込んだのか?」



堅気?



それってーー





「…はい」




そこまで翔の話を聞いた男がこちらを向いた。



あたしのふと過った、外れてれば良い憶測。

それを裏切る男の風貌。




長身のがっしりした男だった。異様な迫力さえなければ、爽やかに見えるほど整った顔をしている。




「巻き込んでしまったようで、申し訳なかった。怪我をしているようだし、病院まで連れてきます」



それに似合わない礼儀正しさ。



いかにもヤクザな人に頭を下げられ、腕の痛さも忘れ立ち上がった。

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