第40話 回想
『瑞稀はオレだけのモノだから』って言われてるみたい。
じゃなくて、言われてるんだよね。
照れながらコクンと頷いて
「善処します」
って、言ったのは、スカートがめくれると恥ずかしくて、真っ先に顔を隠しちゃうクセがあるの自覚してるから。
ノーパンのスカートの中を視られて、その女の子ってどんな顔をしてるの?
って、恥ずかしいんだもん。
放課後デートは、腕を組んで歩いて、カフェでドリンクを飲みながら、喋りを楽しんで。
合間合間に意地悪されるけど、基本的にはこれぞ放課後デートって感じの内容。
もちろん、短いスカートにノーパンで、白いブラウスの中はノーブラなんだから
ドキドキ、ハラハラ、スリル満載なのに、冬に意地悪されて恥ずかしかったけど。
でも、冬とのデートで羞恥を煽って来ない方が考えられないよね。
私を恥ずかしくさせて、ドキドキさせて、下腹部の奥をキュンキュンとさせて。
私も歩いてる最中にスカートを抑えて、小さく歩いて、冬の腕に胸を押し付けて。
冬とこうして歩いてるだけで、こんなになってるんだよって教えるように……。
冬と一緒だと、不思議と大胆になっちゃいます。
気合をいれたデートは休日のお楽しみっていうか、何気なく普通だけど特別なものも感じて、放課後に一緒に居れる時間を楽しむのが私にとっては嬉しいから。
学校だと人目も気になるけど、そういうのを気にしないで制服でカフェでまったりって素敵よね。
まったりできたわけじゃないけどさ……。
相手が冬なんだもん。
お察しですよ。
もうね、「どこがいい?」とか、一緒に「どれにする?」って会話からして、特別感があって頬が緩んで。
店員さんも冬の顔を見てから、私を見て、優越感に浸れます。
ケーキとドリンクもお互いに別々のモノを頼んで、分けっこしたり、『あーん』して食べさせてくれたり。
もう、甘くて甘くて。
私がしたかった事を、されたかった事を何も言わないでも、してくれるから、本当に楽しくて、嬉しくて。
こっそりキスとかも、もちろん。
何回キスしたんだろう……。
不意に私の顔を冬の方に向けさせられて、唇を押し付けられるあの感覚ったら、言葉に言い表せません。
それを何度も……。
時々、私から冬の顔を覗き込んで、少し唇を突き出して目を閉じて、せがんでみたり。
ふはぁ……思い出すだけで、恥ずかしいけど身体が火照っちゃう。
今はベッドに寝転がって、デートの時を思い出してニヤニヤしてる気持ち悪い女の子です。
でも、いいの。
余韻に浸りたいから。
お互いに試合をサボった事は、潔く『デートしてました』って、素直にストレートに言う事に話し合って決めた。
罰則があったら、甘んじてそれを受け入れる事も決定しました。
冬は、もしかしたら何試合か試合に出れないかも知れないけど、それでもいいって。
最悪は、レギュラーどころかベンチにも入れなくなっても、いいって。
私もチア部から追放されても、冬を個人的に応援できるなら、それでもいいかなぁって思ってるし。
極論だよ?
あくまで最悪の事態になってもって話だよ。
冬はバスケが上手いし、バスケが好きだし、私もチア部を楽しいって思ってるし。
今まで通りそれぞれ部活の時間も大切にしたいってお互いに思っているのは間違いないからね。
当面は明日から、女子達からの質問責めにどう対処するかだよね。
冬はマイペースだし、何を言われても麻美の時のような感じだって想像つくけどさ。
冬ほどじゃないけど、私もそれなりに男子からのウケは良いけど、相手が冬となるとやっぱりね。
男子は相手が冬なら仕方ないって思ってくれるだろうけどさ。
問題は女子です。
あの不愛想な王子様の心をどうやって射止めたのかとか聞かれても、そんなの分からないし、そもそも言えないでしょ?
あれも要因の1つだったとしたら。
部屋着のワンピの裾を軽くめくって、無防備なお尻を自分の手で撫でて……。
これも要因?って思うと恥ずかしい。
はい、今も履いてません。
思い出して、顔を熱くして。
足をパタパタさせて。
だって、デートの時をせっかく思い出しているのに、履いていたら雰囲気でないもん。
女子から追及されて、これ?とか少し優越感にも浸りたいもん。
冬のためなら、私はこんな事だってできるんだよって。
冬の顔が待ち受けになってるスマホにそっとキスして。
独占欲を発揮している少しヘンタイな乙女です。
なんかね、冬がカレシになってからの方が、ずっと冬の事が好きになってる。
冬の事ばかり考えてる。
――と、スマホの通知音に甘い妄想から我に返らされて、
「もうっ」
なんて言いながらスマホを確認すると、愛しの冬からで。
『もうっ』なんて言った自分にお説教したいです。
ドキドキしながらアプリを開くと、これまた……。
『今から電話していい?』って、お揃いの可愛いキャラのスタンプがっ!
嬉しすぎて心臓が爆発しそう。
身体がよじれるくらいに、くねくね動いちゃう。
だったこれだけの事なのに
「はぁっ……」
って、うっとり甘い吐息をもらしちゃう――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます