第18話 屋上へと続く階段(意地悪)

 ワザとなのか女の子ペースに合わせてくれているのか、おそらくは後者だと思うけど、ゆっくりと階段を昇る。

 ゆっくりとした歩みだと、階段に居る時間が長くなるわけで……。

階段にいる時間が長くなる程、階段の下から無防備な私のお尻を視られる確率が高くなるって事で……。

 ううっ、凄く恥ずかしい。


 吐き出す息が熱い。

チラチラと階段の下を何度も確認していると、

「顔まで見られるよ」

 と、優しい声が聞こえる。


 そうだ。

ノーパンチア部員までは分かっても、それが私だとは分からないはず。

 とにかく、顔を見られる事が無いように、俯き顔を隠して階段を昇る。

 と、俯いている私の視界にスマホの画面が。


 教室で撮影された、エッチな恰好の私の画像が見える。

今の状況でも既に感度をあげていってるのに、こんな画像を見せてくるなんて意地悪すぎる。

 けど、私の視線は画面に釘付けで。

「んんっ、うぅんっ……もうっ。エッチ、ヘンタイ」

 冬を罵るけど、耳元に息を吹きかけて来て。

「瑞稀が?」

 画面を見ながら言ってくる意地悪さ。


「あぁっんっ……やだぁ……言わないでよぉ」

 けど、それはそうだよね。

こんな画像を見たら、どこからどう見ても、私がヘンタイだよね。


 図星を突いてくるからこそ、言葉攻めって威力が増すんだよね。

言い方も意地悪だし、シレっと言ってくるところなんかも大事。

 冬に言葉で、いじめられるのが好きんなんだもん。

甘えるような私のエッチな声が静かな階段に響く。


 すかさず、冬の意地悪な言葉攻めが聴覚を甘く刺激的にくすぐってくる。

言葉で愛撫されてる感じ。

「言われた方が好きって知ってるもん」

「んぅっ……いじわる」

「意地悪されるのも好きって知ってるし」

「あぁぁあぁんっ……だめぇ」


 ホントにっ、ホントにこの男はーっ!

 意地悪されて、意地悪な言葉を返す私の言葉には、何個のハートマークが散りばめられているんだろう?

 って思うくらいに、蕩けた声をだしていて。


 それが恥ずかしいと思うから、また、キュンと腹部の奥が熱を発するんだよ。

屋上に向かう階段は基本的に、普段から使う人は少ないから、静かで声が響きやすい空間。

 そんな場所で、私にエッチな声を出される為だって言うのも分かってしまった。


 耳に入ってくる私の声は、少しエコーがかかっているようで、マイクに向かって声を出している感じ。

 それが私の羞恥を煽ってくる。

ポニーテールを揺らして、身体をくねらせて、満更でもない声を出しているのだから、私って冬に翻弄されすぎてると思う。


 クスっと笑う冬のスマホを持っている手が動き、ポケットに入れるのかなと思っていたら、スカートの前の裾の下側に伸びてきて、何をされるのか瞬時に理解した。


「あぁっん……ふ、ふゆ、だめっ……」

 何かされる前から、エッチな声を出して、否定するけど、うん。分かってた。

問答無用でパシャって音を響かせてくるって事くらい。

 胸をギュウギュウと冬の腕に押し付け、顎を上げて、

「あぁぁぁんっ!」

恥ずかしい場所をローアングルからパシャパシャさせられて、私が悦んでるのバレバレな反応で。


「瑞稀。こんなになってる」

 スマホを私の目の前に持ってくるけど、そんなのになってるのくらい自分でも知ってるよ。

顔をプイと画面から反らすけど、気になって視線だけ動かしてチラっと見ると……。

 えと……あの……恥ずかしいです。

冬に舐められていた時、私の秘部がこんなになってるのを、間近で視られていたって事だよね。


 太腿が勝手にモゾモゾと動いてしまう。

「見ないの?可愛くなってるのに。」

「はぁ、んっ……み、見ないっ、可愛くない」

 私がチラ見したの知ってるクセに。


 楽しそうに笑う冬が、

「バカだなぁ。可愛いに決まってるだろ。どこに印を付けようかなぁ」

もうっ、バカ。やっぱりチアスカートの内側にも冬の証を付けられるんだ。

 想像通りの事を言われたら、早く刻み込んで。

って、思ってしまうじゃん。


 モゾモゾと内腿を擦る太腿の動きが激しくなっていって。

「早くっ」

 冬の腕を引っ張るように先に足を出すけど、冬が動くタイミングと合わなくて、乳首が腕に擦れてしまい

「ああぁぁぁぁぁっん」

 階段に来てから、一番大きな声を響かせて。 


「だっ、だから、はやくって言ってたのにぃ」

エビ反りになっては、あんな声を出しておいて、『だから』って言葉は、もはや、おねだり以外の意味なんてないって事に気付くけど、後の祭り。


「ん。瑞稀がオレの印を付けられるのをねだってくるなんて……。つまり、オレに独占されたいって事か。じゃあ、急がないとな」

「……っ!?」

 おねだりなんてしてないって言いたいけど、それ以上に、冬に独占されたいってバレて。


 ここで開き直れれば、いいんだろうけど、やっぱり恥ずかしい。

無理。恥らう乙女で『まだ』いたいもん。


 冬って私の内側を言わせるの得意だよなぁって思うけど、私が自分の性癖とかを暴露すると気持ちが高揚するのも知ってるんだろうなぁって思うと、色々と複雑。

 私は冬だけのモノだし、冬だから私の全部を知っていいんだよ。


 冬だからって所が重要なんだからね。

って思いながら、急ごうって意味でコクンと頷いた――。

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