第15話 着替え1(スカートから)
何回イッたのか分からないけど、とにかく気持ち良かった。
あんな事をされた事なんて無かったし、それがとても気持ちいいモノだと
冬に教えられた感じがする。クセになりそう。
汗ばむ肌も舞い込んでくる風のおかげで、楽になり徐々に落ち着きを取り戻し
「どこにいくの?」
と、問い掛ければ、冬は意外にも何かを考える素振りをして
「んと、お腹空いてる?」
と、尋ね返してきた。
「まだ空いてない」
正直に言うと、冬の顔がぱぁって明るくなって。
「じゃあ、チアユニに着替えてよ。髪もほら、この辺で結ってるいつものでさ」
私が結っている高めの位置に手を置いて、言ってくる。
制服の次はチアユニと告げて来た瞬間に、今のスカートの丈よりチアスカートの方が長いから意図は分かったつもり。
これから外に出るなら、って気を遣ってくれたのだと思う。
それと、冬がポニテの結い位置を知っている事も、嬉しかったから。
「分かった」
チアユニに着替えても、アンスコもスポブラも着ける事は頭にない。
冬が可愛いと言ってくれる恰好で、二人でお昼ご飯を食べるため。
私が私のカバンの方に視線を向けたかと思うと、すっとカバンを手に取り、私の机の上に置いて。
「ここで」
トイレか更衣室かで着替えるつもりだった私は、完全に意表をつかれた。
マジマジと「本気?」と、言うように冬の顔を見あげていると、冬の視線が胸元が開いたままのブラウスの乳房に移動したのが分かる。
「瑞稀が今の恰好のままでもいいなら、それでいいけど?」
乳房丸出し状態で、外に行くの?と挑発してくるような言葉と、曝け出されている乳房を視姦されているような視線に、背中に電流が走る感覚。
本当は誰にも見せたくないから着替えてよって言っているように感じる辺り、冬の独占欲が垣間見えた気がして、ちょっと嬉しい。
二人きりだと分かっているけど、教室をグルリと見渡し、二人きりだと改めて確認できると、自分の胸元に視線を移し、はしたない格好に恥ずかしくなる。
だけど、首を縦に動かし、教室で着替えることを、了承する。
手をカーテンに伸ばそうとすると、手首を掴んできて、首を横に振る冬。
「こっちのがドキドキするだろ?」
頬を膨らませて、冬の顔を軽く睨みつけるけど、図星だったから、全然、怒っているようには見えないと思うし、実際に怒っているわけなんてない。
顔が熱くなっていて、きっと赤くなっている顔に手でパタパタと風を送る仕草をして、無言でカバンを開ける。
ピンクと水色のシュシュを取り出し、そっと机の上に置いて、ここで着替える事を告げるように。
「もも色とみず色って、桃瀬瑞稀って感じだよな」
名前に因んで、この色を選んだ事を言い当てられ、嬉しくて、自然と頬が緩む。
両手を後頭部に回して、位置を調整しながら髪の毛を束ねながら、
「可愛いってこと?」
束ねた髪の毛をヘアゴムで固定しながら、尋ねると
「もちろん」
即答で返ってきて、頬を染めた顔を冬に向けて、ニコリと微笑む。
ポニテにしてお気に入りのシュシュを付け、髪型を軽く整えてから、リボンタイを外し、ブラウスの第一ボタンに指をかける。
ボタンを外していこうとするけど、冬の突き刺さる視線がやっぱり気になる。
こんな近い距離で視られながら、着替えるだけでも恥ずかしいのに、下着はつけていないから余計に意識してしまう。
上下共に着替える度に、脱いだ場所が露わになって、それを視られるって事だし。
私がチラチラと冬を見ているからか、気を遣ってくれたのか分からないけど、すっと横に移動する冬。
正面から至近距離で視られるよりも、もちろん横からの方がマシだけど。
結局、間近で着替えを視られると思うと、鎮まった火照りがぶり返す予感がする。
ここで私が何を言っても答えは分かっているけど、これでも恥じらう乙女。
「あんまり視ないでよ」
釘を刺すけど、やっぱり無駄だった。
「あんまりは視ないよ。じっくり視るから安心して」
シレっとガン見宣言。
「もぅっ……えっち」
それだけ言って、椅子に座ったまま、そそくさと制服のスカートを脱いで、水色地の裾の上に白のラインが入っている、プリーツのチアスカートに履き替える。
いつもはトップスから着替えるけど、少しサービス。ほら、今は乳房が視えてるでしょ?
横から無防備な秘部に視線を感じたけど、舌で舐められるくらいに近くで、視られていたのだからそれに比べればね。もちろん恥ずかしいけど。
乳房も秘部も両方見えている事には違いないから。
他にも理由があって、椅子から立たずに履き替えたのが、私なりの抵抗だったりもする。
だって、立ち上がって履き替えたら、お尻を突き出したりするだろうし、それってワザとセクシーなポーズをとってるみたいでしょ?
えと、まぁ……うん。それでも別にいいんだけどね――。
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