第Ⅰ章 第31話

水の牢獄は、紫の足元で展開された。紫の鎌は水を斬ろうとしたが、「その水も、氷同様に斬れないよ。・・・氷の鉄の処女よ、我が敵を喰らい尽くせ【アイシクル・アイアンメイデン】」

次の瞬間、水の牢獄の中に、氷で構築されたアイアンメイデンが無慈悲に紫を飲み込み、本来の鉄の針ではなく、氷の礫が紫を飲み込み、喰らいつくした。


私は、水の牢獄と氷の鉄の処女ごと、二刀で斬り付けた。


その斬撃で、魔法は全て砕け、紫は、体育館の床で倒れた。



すると「お疲れ、沙織。まさか、アイアンメイデンを使うとはね。流石にやり過ぎじゃ無いか?後で生徒会長と戦うんだろう?本気出し過ぎたんじゃないか?沙織」

二刀の剣から、精霊の姿に戻ったアオトは私にそう聞いた。


「大丈夫よ。それに、これでも、本気出したの何て半分だもの。本気ていったら、あの魔法も使える条件下の事だもの」

アオトにそう答えたのは私だ。


アオトの本気の技には、二つの禁忌の魔法がある。氷炎地獄【インフェルノ】と氷の心臓【アイシクルハート】の二つの禁術がある。


前者の魔法・氷炎地獄【インフェルノ】は術者の魂を削る代償を支払い、アオトの絶対零度の氷と煉獄の炎で全てを凍らせ、焼き尽くす。炎は、標的が消え失せるまで消える事が無い魔力の炎。


その代償は、魂の削りと魔力である。その為、学園で発動すれば、この学園にいる人間と精霊を凍らせ、焼き尽くす事が出来る。だから、この魔法は使えない。

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