第Ⅰ章 第29話

「じゃあ、始めようか。・・・アオト、お願いして良い?」

私はアオトにそう聞いた。


「勿論だ。《双蒼なる水よ、双蒼なる氷よ、我が名において真の姿を示せ》」

アオトは、詠唱を唱え、何時もの二刀の剣の姿になった。


「ええ。・・・ダーク」

「うん、行こう。《漆黒の闇よ、我が名において真の姿を示せ》」

ダークと呼ばれた少女は詠唱を唱えるとダークと呼ばれた少女は、紫の身長と同じ位の鎌の姿になった。


精霊騎士の精霊の武器は、基本は剣が主だが、鎌や槍などの武器にもなる事が多い。


「闇の嵐よ、我が敵を葬る死の嵐となり吹き荒れろ【デス・ストーム】」

大気中に漆黒の嵐が渦巻いた。直感で、あれは危険だと察知した。


「氷の砦よ、我を護りし、強固なる城塞を築け【アイシクルシティプラグ】」

今度は急激な氷の収束で氷の砦が築かれた。


「深く暗い闇の刃よ、我が敵を斬り付けろ、深き闇の刃【ディープダークスライサー】」

鎌は、私が構築した氷の城塞の破壊を試みようとした。普通の脆い氷ならば、この一撃で、アオトの魔法は、崩壊していただろう。だが、アオトの氷は、普通の氷とは違い、一筋縄ではいかない。


「え・・・確かに壊した筈なのに!?」

紫はそう言った。


「確かに、紫の言う通りよ。でも、この氷が普通の氷だったら今頃、この氷の城塞は崩されて私は怪我を負ってた筈だけど、残念ながら、アオト・・・この子の氷は普通の氷属性の精霊の氷とは少し違うからね。簡単にアオトのこの氷の城塞は破壊されないわ」

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