第Ⅰ章 第5話

午前の座学が終わり、昼休みになった。


「お昼食べに行こう。あ、優音君も行こう」

そう優音を誘ったのは、桜だった。「何時も誘ってくれてありがとう。僕は、沙織以外とは余り、交流を持たなかったから」

優音はそう答えた。


この言葉に偽りはない。

優音の一族・烏丸は、代々、私の生家・姫宮を含む宮家の人間を守護して来た一族だ。その中でも優音は、私以外の宮家の人間以外は関わりを持たずに居たからだ。


「ううん。そう言えば、ずっと疑問だったんだけど、何で、優音君て何時も沙織と居るの?」

桜にとっては、疑問だろうな。


「それはまぁ、私、幼い頃に烏丸に助けられたからね。優音は、私の家族に近い存在だから」

私はそう答えた。


これも偽りでない。私は、姫宮の・・・自分の両親とは仲が良くなく、幼い頃に家出をした際に烏丸に助けられた事実がある。だから、優音は同い年だが、兄の様な存在である。幼い頃の事は、幼馴染の桜や沙羅にも話て居ない事である。


「そうなんだ・・・」

桜はそう答えた。


「それより、お昼食べよう。午後は、実習なんだもん。しっかり食べないとね」

私はそう答えた。「そうだね」

沙羅はそう答えた。


私達は、カフェテリアに向かった。

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