第80話
………あ、そっか。
きっとみんなで、私を騙してたんだね。
…悪い冗談。
考えてみればそうだよ、こんなに私の周りにばかり悪いことがある訳なんてないし。
もしかしたら2041年っていうのも嘘で、光希だってちゃんと生きてたりするんでしょ…。
で、今そっと後ろから出てきて、そして私を抱きしめて、
『騙してごめんな!ほら、紗織。やっぱすっかり騙されたろ?いなくなってみて、俺のありがたみが分かったか!』
なぁんて言っちゃったりするつもりなんでしょ。
………………。
……うつむき、涙を流しながら私は笑っていた。
だって、顔を上げたら笑ったみんながいるんだもん。
きっとそう、そうに違いない。
悪趣味すぎるブラックなジョークだったけど、怒らないからね。
泣きながら、笑いながら顔を上げた私。
そして目に映る、綾ちゃんの姿。
こうして私が都合よく想像したものは、当たり前のように崩れ去り、一気に現実へと引き戻された。
逃げられない。
私は逃げられないんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます