第65話

2041年、9月15日。

今日は日曜日…らしい。

外は晴れていて、真夏並に暑い。


入院はしているものの、特に過密なスケジュールでのリハビリや治療がある訳でもないから、結構退屈だなぁ…。

イチハさん、どこの病室かくらい聞いておけばよかったなぁー。


未来の現在でできた、初めてのお友達。

なんとなく気が合いそうな気がするんだ。


昨夜よりも体調は良く、散歩でもしようかと中庭へと向かう。

少しでも歩けばリハビリになるって言われたから。


青々とした芝生、立派に立ち並ぶ木々、おしゃれなベンチ。

ちょっとした公園みたいな感じで、ふとするとここが病院内だということを忘れてしまいそう。


ベンチに腰掛けて空を見上げる。

流れる雲をぼんやりと見つめながら、現状の整理と今後への覚悟を、ゆっくりゆっくりと考えていた。


…なんだかまだ頭が回らない。

何からすればいいんだろう。

何からすべきなんだろう。


…何ができるのかなぁ。


やっぱり何があってもいい。

今はみんなに逢いたい。


厳しい現実を思い知らされるんだろうけど、逃げてちゃいけない気がする。


…そんな風に考えていた、その時。



「紗織ちゃーん!」


「…あ、イチハさん」



骨折しているはずの手を振りながら、満面の笑みでこっちへと走って向かってきた。

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