第55話

「森山さん。気分はどうですかー?」


「…はい。大丈夫です」



なんでこんなに…?と思うほど、狭い部屋の中にすごい人数だ。

体調などを細かく次々と質問され、そして病気の経過などを説明された。


私が目覚める前に手術はほぼ終わっていて、あとは簡単な追加手術と薬で治せるそうだ。

そして約一ヶ月ほどのリハビリと経過観察を経て、退院となるみたい。


様々な説明を聞き、目覚めた後の頭の中のもやもやはだんだん消えてきて…ふと疑問が生まれる。


なんでみんなは来てくれていないんだろう。

いつ目覚めるか分からなかったから?


いや、コールドスリープ状態が解除され、治療が開始されてから一週間近く経ってるって話だから…私は眠ったままだったとはいえ、看病とかお見舞いとかに誰か来ててもいいはずなのに…。


そして今は何年の何月何日だろう…。


そう考え始めて間もなく、それらの疑問は無理矢理ひとつの答えにまとめられることになる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る