第四章◆たどり着いた未来

第54話

…遠く深い眠りの間。

私は、長い長い夢を見ていた気がする。


ちいさな私。


幼稚園の頃仲良しだった、結菜ちゃんと遊んだり…

苦しかったけど楽しかった、中学の吹奏楽部のこととか…

光希と過ごしたたくさんの日常が、頭を巡る…


ひとつひとつの出来事が走馬灯などとは言わず、ゆっくりと流れてゆく…


それぞれがとてもリアルで、今の私には過去に本当にあったことなのか、作り出された妄想なのかの区別すらつかない…


…ぼやけた今が現実で、今までの人生が夢だったのか…

そんなはずはないけど、そんな気さえするような…



…深い心の海の底。

私の心はひっそりと静かに、長い時を過ごしていた。


…そして…


一瞬のようでもある、長い長い時は経ち、私は目覚める。

日頃の睡眠ともあまり変わらないような、自然な目覚め。

強いて言うなら寝すぎた時のけだるさと、筋肉痛のようなしびれを感じる。


眠りについてほんの数時間か…程度に感じるけど、どれくらいの時が経ったんだろう。



ふと目覚めると、すでにコールドスリープのカプセルの中ではなく、私は病室のベッドの上にいた。


目が覚めて数分。


初めは部屋にいるのは看護師さんが二人だけだったのに、気づくと複数の医師や他の看護師さんたちも続々と病室に集まり、私は囲まれていた。

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