第50話
…大好きだよ……
『好き』の感情。
ただそれだけがぐるぐる回る。
光希としばらく逢えなくて、からっぽになりかけていた私の心を一気に満たしてくれた。
「…ねえ紗織。これだけは絶対に覚えておいてほしい。俺、何があっても紗織のことが好きだから。一時的に離れることになっても、絶対最後は一緒にいるから。だから信じて待っててほしい。…約束だよ」
…?『待っててほしい』って。
なんだか言葉のニュアンスに違和感を感じ、少し気になった。
「うん。大丈夫だよ」
少し不思議に思いつつも、何か言い間違いかとも思い、あまり気にしないようにして普通に返事をした。
「ずっと…、ずっと一緒にいような」
「うん、ずっと一緒だよ」
この言葉の重さ。
そう、きっと数えきれないほどたくさんの人が幾度となく使い尽くしてきた言葉だろうけど、その意味は果てしなく重いんだ。
そんな風には思いながらも、私はその時の光希の言葉の、伝えたかった本当の意味を理解してはいなかった。
…それが…その意味が分かるのは、ずっと先の話。
光希。
その時の光希には分かっていたんだね。
やっぱり本当に一番辛い思いをしていたのは…私じゃなかった。
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