第41話

2029年、10月21日。

今日は日曜日。


ついに光希と入院前の最後のデートの日。

そしてついに入院の前日になってしまった。

起きる予定から少し早めの、午前7時ちょうどに目が覚めた。

学校じゃない日はいつも8時に起きるから、アラームはいつも通り8時にかけてあったんだけどなぁ。


まずは熱を計る。


…37度2分


熱もそれほど高くはなく、最近にしたら今日の体調は割と良い。

昨日は光希が帰って来る日だったけど、今日のために午後からはおとなしくしてたし、早くに寝たからかな。


…少しして、あることに気付く。


携帯が圏外だった訳でも電源が切れていた訳でもないのに、光希から電話もLINEも来ていない。

もう昨日の夜には帰ってきてるはず。

寝ているかもしれない私に気を遣ったのかな…。


とりあえずLINEでスタンプを送ってみたけど、既読にならず、電話しても繋がらない。

事故や事件なんて、そうそう起こるもんじゃあないって…そんな事は分かってる。


でも、なんだか嫌な胸騒ぎがする。

最近の不安定な精神状態のせいか…酷い不安で心が埋め尽くされる。



「お母さーん。光希からなんか連絡なかった?」


「えっ?電話もなにもなかったと思うけど…」


「あーそーっ」



私はとりあえず着替え、すっぴんを隠すための眼鏡だけをかけて、光希の家へと向かった。


歩いて行ってもわずか三分の、光希の家までの距離。

あまりに色々考えすぎて、頭の中がぐちゃぐちゃに混乱しているせいなのかな。

今日は走っているというのに、今までに感じたことがないくらい遠く感じる。

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