第35話
今週に入って体調はあまり良くなく、ほぼ一日中横になって過ごす日々。
外に出るのは極力避けなければならず、出掛ける先は病院だけ。
光希はというと、水曜から土曜までショートホームステイというのでカナダに行ってしまっているので、今日本にはいない。
時期は悪いけど、前々から分かっていた事だし仕方ないよね。
部屋の掃除などをしながら、退屈に過ごしていく日々。
そうこうしているうちに、金曜日になった。
入院まであと三日。
今日は夕方に、高校の時の同級生で親友のユミカとくーちゃんがお見舞い…というか、遊びにに来てくれる事になっていた。
月曜に決まった今後の日程。
思っていたよりも早く入院することになったから、慌てて二人は予定を合わせて来てくれたんだ。
ユミカは就職して一人暮し、くーちゃんは短大の寮…と、二人とも今は実家を離れて県外で暮らしている。
二人ともそれぞれ片道約一時間半~二時間かけて、わざわざ来てくれた。
ありがとね。嬉しいよ。
「あぁ、なんか懐かしいねぇ。紗織ん家に集まってのお泊りって久しぶりだもんね。紗織ぃ、具合はどうー?大丈夫??あぁ、紗織の好きなお菓子、いっぱい買ってきたよぉー。一緒に食べよ」
「大丈夫じゃないから二年入院するんだよぅ。…そしてそのお菓子、くーちゃんが好きなやつだよね…」
と、私はしっかり突っ込んだ。
「さすがは紗織ぃー、よく覚えてるじゃんっ!」
くーちゃんはいつもこんな感じで、しゃべりはゆっくりだけど絶え間無くしゃべる感じ。
そしてどこか抜けててのほほんマイペース。
でも、辛いときほど癒されるんだよなぁ。
「紗織、なんかついてないね。成人式を控えたこの時期に、病気で入院とは…。まぁ紗織は基本図太いから、死にはしないだろうけどさ」
ずばずばと言い放つ、サバサバしてて男らしい(?)ユミカ。
これはこれで無神経な一言ではなく、励ましの言葉。
傷つけまいと腫れ物に触るみたくして、逆に傷つけることのないようにって配慮だよね。
「いやいや、図太さはユミカほどじゃあないっす」
「いやいやいやいや、紗織が一番でしょうがっ」
二人ともタイプは全然違うけど、言いたい事が言えるし、気を遣わないでいられる最高の親友なんだ。
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