第33話

「ごちそうさまー」


「あー紗織ー、ご飯もうどんも食べちゃって、明らかに食い過ぎだなー。太っても知らないぞ」


「むー!お父さん、うるさいよっ!私は大丈夫だしっ!」


「さーちゃん、そろそろ『食べても食べても太らない』っていう年齢も終わりだよー。気をつけなよー」



お父さんもお母さんも、年の割にお腹なんかも出てなくて、スラッとしててかっこいい。

綾音は背は普通だが、足は長く、細身でスタイルがいい。



「…まぁみんなに比べりゃぽっちゃりだけどさ…」



と、しぶしぶわたしが折れたことで、お父さんと綾音はすっごく満足そうに顔を見合わせた。



「もーいいっ!」


「さーちゃん、嘘だよ!さーちゃんは顔ちっちゃいし背もちびだから、ちょっとくらいなら太ってもきっと太って見えないからね」


「…それって褒めてないよね…?」



拗ねて怒って喧嘩して。

いつもの事ながら、本気で一瞬ムッとしたりもしたけれど、心の底のほうではなんだかちょっぴり温かく…


でも次の瞬間には、大きな寂しさが胸の中心を突き抜ける。

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