第31話

こんな時の次の言葉までの一瞬は、とても長く感じる。



「……あなた達は…双子だったのよ」


「…え?」



なんだか想像と違い過ぎたし、意味も分からず理解ができない。



「なんで?どういうこと?だって綾ちゃんとは歳も違うし、誕生日だって全然違うよ?それにうちら、双子っていうほどは似てないし…」


「綾音は生まれてすぐに重い病気が見つかって…。今の紗織と同じですぐには治療できなくて、約二年間コールドスリープをしたの。…で、紗織が二歳になって少しした頃、綾音は手術して成功、その後に退院して初めて家にきた…って感じ。あと、あなた達は一応一卵性の双子なのよ。その時投与された薬の副作用なのかも知れないし、年齢や環境の違いもあってか、多少成長に違いがあるみたいだけど」



さすがに二歳の時の記憶は無いし、二歳下の妹…というのを疑ったことなんてなかった…。



「まさか綾ちゃんと私が双子だったなんて…」


「生後四日目からのコールドスリープだったから、コールドスリープから目覚めた11月4日の四日前、10月31日を誕生日にしたんだけど、戸籍上の誕生日は紗織と同じ、2009年の7月7日なのよ」


「そうなの!?」


「進学の時の学校への届けやなんかは、私が事情を説明して、市や県に頼みこんで特例としてなんとかしてもらってきたの。実際の年より二学年下にしてもらうためにね」


「…そうだったんだ……」


「綾音は今後も実際の歳と違うっていうことでの苦労もあると思う。…そんな苦労を紗織にもさせてしまうのかと思うと…」


「あー、気にしないで。私は大丈夫だよ。むしろ同級生より見た目若くいられるってことだもんねーっ!」



私の場合は誕生日を変えたりする必要もないし、きっと大人になってからの二年間くらいなら、そんなに気にならないだろうし。


それにしても確かに驚きの告白ではあったけど、私が想像していたよりも苦しくはない内容だった。

今回の入院で、離れていたわたしたち姉妹の時が正しい形に少し戻るような…。


そんな風に考えたりすると、なんだか少しあったかい気持ちにさえなったりした。

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