第24話
「ねえ紗織、入院ってどのくらいなの?」
次の言葉を選んでいるうちに、光希から先に聞いてきた。
「…んー…、実はリハビリも含めると、二年とちょっとになると思う…」
「…えっ?二年………二年なの!?」
さすがに驚いている。
しかし私は続けて、勢いで現状を伝えた。
今の医学では治らない病気であること、コールドスリープによっての無理矢理な延命措置での治療であること。
…そして、大きなリスクはあるけど、治療法はそれしかないと言うことを…。
それらを伝えてすぐに、意外にも光希はにっこり笑ってこう言った。
「二年かぁ…。紗織が目覚める頃には俺も二十二歳だよ。あぁ、あれって歳はほとんど取らないんだよね?俺が二つ年上なっちゃうな!」
気持ちを整理する時間を暫く要するだろうと思い、光希の言葉はもう少し先かと思っていた私。
そんな考えを裏切るかのように、光希の言葉はあまりに早かった。
逆に私が考える間がなく、とにかく言葉を探して話し始めるしかなくなった。
「なるほどー、そういう考え方もあるんだね。あー、そうなると私、妹の綾音とはタメになるってことじゃない!?」
「ぷっ!知り合いに姉妹って言って紹介すると、『綾音の妹さん?』とか、『紗織ってお姉ちゃんいたんだー?』なんて間違われてるしなぁ。歳が一緒になるか、下手したら逆転かぁ。まぁそれはそれでいいんじゃない?」
「う~…」
厳しいところを突いてくる。
まぁでも確かにそう。背がちっちゃいせいか、私は年令通りに見られたことがない。
そして綾音の身長は155センチ。
特におっきいという訳じゃないけど、更にちっちゃくて見た目が幼い私の隣だと引き立つみたいで、一緒にいると絶対に私が妹だと間違えられる。
顔の作りはよく見るとそっくりなんだけど、化粧や好きな服の系統も全然違うからなぁ。
光希と並んで歩いている時も、きっとすれ違う世の中の人達は、私達二人がタメだとは思わないのかもしれないな。
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