第20話
…どうやら私の病気は特殊らしく、現代の医学では治せない難病らしい。
…あんまりだよ…。
ただ、医師の告知には、まだ続きがあった。
「でも、聞いてください。リスクは大きく、医療費もかかるかもしれませんが…治せる可能性もあります。恐らく二年後くらいになるでしょうが…今研究中の、この症例の治療薬が認可されそうなのと、根治に向けた効果的な手術法も確立されそうなんです」
…一瞬射した一本の光は、すぐに閉ざされた。
余命が半年の私に、二年後の話。
手を差し延べて救い上げる振りをして、また落とすんですか?
一筋の涙が、静かに頬を伝ってゆく。
「最後まで聞いてください。これがあなたを救う、唯一の方法だから言っているんです」
「………?」
「リスクはありますが、近年になって、やっと広く実用化されてきた技術…コールドスリープというのをご存知ですか?」
昔のSF小説や映画などで創造された、かつては夢の技術って言われてたものらしい。
人体を特殊な冷凍状態にして保存し、未来で蘇らせる…言わば一方通行のタイムスリップ。
ただ、コールドスリープによる後遺症問題や、死亡事故などのニュースはしばしば見たりする。
まだまだ未発達の、不安定な最先端技術というイメージだ。
とは言え、何もしなければ半年以内に死んでしまうというのは逃れられない事実だから、私には選択肢はない。
ただ、未来に行くために二年という長い期間、私の時を止めるとなると、いろいろと問題がありすぎると思うけど…
例えば光希や家族や友達からしたら、二年間会えないことになる。
私も学校は休学したりしなきゃだし、残念ながらバイトは辞めなくちゃいけないだろうな…。
そして、無事二年後に目覚めても、治療がうまくいって完治するという保証は100%ではない。
…でも、私にはこれしかない。
未来へ行く決心をした。
そしてその意思を伝え、来週の月曜に詳しい話を聞きにくる事になった。
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